Executive Order 9066
Executive order とは、大統領令のことです。
今年、大統領がトランプになってからすぐに、中東と北アフリカの7カ国出身者に対して入国を制限をした大統領令は記憶に新しいと思います。この大統領令を受けてニューヨークの空港では多くの人が拘束され、その中には正式なビザや市民権を持っている人も多く、大きな混乱を招きました。
1942年、日本軍による真珠湾攻撃を受けてから数ヶ月後の2月19日、当時のアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトが大統領令を出しました。それがExecutive Order 9066。
これにより、アメリカ西海岸に住むすべての日系人に対する強制収容が始まりました。
その人数は110,000以上に及び、その63%はアメリカ市民権を持っている2世や3世の人々でした。
それまで暮らしていた普通の日々を、突然奪われたのです。
収容された場所は砂漠地帯で、砂嵐や大雨で地面がぬかるんでいたり、昼間は灼熱で夜は寒いという辛い環境。そこに即席で建てられた薄い壁の部屋に住み、周りはバラ線で囲われ、常に銃を持った兵が見張り台から見ている。そんな生活が3年以上続いたそうです。
…この事実…知ってましたか??!
私は日本人ですが、全く知りませんでした。
アメリカ留学して受けた英語の授業で、"Invisible thread"という本を読んで初めて知った事実です。。。
なななんて恥ずかしい!と思いました。
授業中にクラスメートから質問されても、なにも答えられない。ていうか知らないし!
クラスの日本代表としては、知識のなさを披露してしまったという感じでした。申し訳ない!
"Invisible thread"というこの本は、作者でもあるYoshikoさんの10代の頃の経験をもとに描かれた小説です。カリフォルニアで2世として生まれた彼女の、幸せで充実した生活と、対象的な収容所での生活が細やかに描写されています。また、二つの国の間に挟まれ揺れる心、辛い時代を乗り越えて大きく成長する彼女のストーリーに深く引きこまれました。
もちろん英文だったので、だいぶ理解できていない部分もあるので、日本語訳された本があればじっくり読みたいなと思う本でした。
ここポートランドも、もちろん強制収容の対象でした。
一時収容所もポートランドにあり、ダウンタウンにあるニッケイレガシーセンターというところでは、ポートランドへ開拓に来た日本人の歴史と、第二次世界大戦の間に収容されていた日系人について詳しい資料が展示されています。
多くの日本人によってポートランドの開拓がなされ、線路をひいたり、森を切り開いて畑にしたりしていたそうです。ジャパニーズタウンも数カ所にあり、とても賑わっている様子の写真が展示されていました。
その後戦争が始まり、日系人に対するあからさまな差別が始まります。
今の自分がアメリカに住んでいても、差別されず普通に生活できていることはすごいことで、幸せなことなんだなと感じました。
とても小さい場所ですが、写真が多くとてもわかりやすかったです。
ポートランドに旅行に来た日本人がここを訪れると、知らなかった人がこんな事実があったのかとショックを受ける人が多いそうです。
このExecutive Order 9066が発令されたのが2月19日ということで、先日私の通っている学校でもディスカッション形式の講演会があり参加してきました。
講演される方々は、みな今のアメリカがこの時代と同じことをしようとしていると警告していました。
そうです、対象の国が日本ではなく中東になっただけ。
日系人の強制収容はなんの意味もなさなかったこと。
ただ人権を侵害し、辛い思いを強いただけだったということ。
歴史から学び、間違った歴史は繰り返さないでほしいということ。
トランプ政権になり、まるでアメリカ人がみな彼と同じような意見を持っているように見えてしまいますが(さすがにそれはない?)、少なくとも私の周り人たちは、このような間違った歴史を繰り返して欲しくないと強く願っています。
Never again!